普段「耳が聞こえません」とよく言います。
実はこれ、正確には半分本当で、半分嘘です。
あ、石を投げないでください…。
「聞こえる」ってなに?
まず、「聞こえる」ってなんでしょうか。「聞こえる」=脳が音を認識する…A
上記観点から「聞こえるか?」と問われれば、いろいろです。大きい音は聞こえるし、小さな音は聞こえません。
例えば、家にいる間、雨の音は相当大降りになってから気づきます。
また、私の場合、低い音は聞こえやすく、高い音は聞こえにくい傾向があります。
例えば静かな部屋で、近くのコンポから音楽が流れていれば、さまざまな高さの音があるので旋律までだいたい分かりますが、電子レンジやタイマー等のアラーム音は耳元で鳴っても分かりません。
また、自分の視界に入っていないものの音には気づきにくいです。
「聞こえる」=喋っている内容が理解できる…B
上記の意味だと、1対1ならば「意識を向ければ聞こえます」。
つまり、手話や筆談を介さなくても会話が可能です。
ただし、それは静かな部屋で、面と向き合っていて、はっきり喋ってもらい、口元がよく見え、読話の集中力が持続しているという条件のもとでです。
基本的に、口元を見ないとほとんど分かりません。ここ重要。マスク取ってください、お願いだから。
また、3人以上の会話になると、もう会話のスピードについていけません。私が一方的にしゃべり倒している場合は別として。
具体例
では、次の場合はどうでしょうか?
駅などのアナウンス
Aの意味では「聞こえます」が、Bの意味では「聞こえません」
わんわんわんわんうるさいだけです。
毎日聞いている定例的なアナウンスは何となく分かります。
でも、イレギュラーな事態(遅延等)でアナウンスが流れたら、何と言っているかさっぱり分かりません。
テレビや映画
これもAの意味では「聞こえます」が、Bの意味では「聞こえません」
何故かというと、テレビや映画の中の人は、私に分かるスピードに合わせて話してくれないからです。しかもそっぽ向いたりします。何人かで話したりもします。
よって、字幕がないと分かりません。
電話
Aの意味では「聞こえます」。
Bの意味では「聞こえたり」「聞こえなかったり」します。
口元が見えないので、電話の際は、想像力を駆使します。
電話の相手と、要件の推測ができれば、何と言っているか分かってしまったりすることもあるので、電話できる人だと思われがちですが、込み入った話になるとお手上げです。
知らない人からの電話は「聞こえない(B)」ことが多いです。
話が食い違ったりすると困るので、できるだけ電話はしないようにしています。
「耳が聞こえません」と言う理由
このように、聞こえたり聞こえなかったり、音としては聞こえていても(A)、言葉としては聞こえていなかったり(B)するので、説明がめんどくさい障害です。
いろいろひっくるめて、わたしは「耳が聞こえません」と表現します。
「聞こえにくい」という表現をしないのにも理由があります。
「聞こえにくい=少しは聞こえる」というニュアンスに取られがちです。さらに、私は声がまあまあ普通に出せるほうです。
すると、話していくうちに、だんだん相手は私が難聴であるという事実を忘れていく…ということが多々ありました。
そのため、はっきりと「耳が聞こえません」と言い、相手に「聞こえていないんだ」という認識をしてもらいやすくするようにしています。
最初は抵抗があったのですが、そのように伝えるようになってから、大事な情報を聞き落したり、聞いたふりをして済ませたりすることが少なくなりました。